蒼き流星SPTレイズナー 第10話『エイジ!?と呼んだ』

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※今回もネタバレしています。

 

 

 

なんとか、カルラ隊を退けたエイジたち。基地に戻ったエリザベスは思わず、机に突っ伏してしまいます。子供たちに万が一のことがあっては、という緊張感から解放されてどっと疲れが出たのでしょう。

一方CCCの子供たちはというと緊張から解放された反動か、みんな急に饒舌になります。特にデビッドとロアンはSPTを動かして、敵を撤退させたというのが自信になったのかやたらと興奮しており、戦闘に参加しなかったアーサーをからかいます。

これまでいまいちキャラがハッキリしていなかったロアンもSPTにのめり込んだようで、デビッドと一緒にシミュレーターでの訓練に没頭しています。

しかし、アーサーの言う「(SPTの操縦が)技術的に未熟なのに無茶しちゃマズい」というのは別にアーサーが臆病だからというのではなく、ごく普通の意見であると思います。デビッドとロアンは初めて戦闘に参加して気分が高揚しているので何でも出来るかのような感覚にとらわれていますが、彼らが戦わなければならないグラドス軍は、地球よりも遥かに進んだ科学技術を持ち、しかもその戦闘員は全員プロフェッショナルの軍人です。昨日今日、訓練を始めたばかりの自分達がかなうわけがないというアーサーの主張は決して間違っていませんし、なにより今話の最後でそれが証明されることになります。

一方、エイジとエリザベスはコンピュータールームで二人きりになり、地球への報告書を作成することにします。万が一エイジに何かあったとしても報告書さえ作って、それが地球に届けば、グラドスの侵攻を知らせることができます。まぁそれを地球人が素直に信じるかどうかはまた別の話になりますが…それにどうもエイジにとって最も感性が近いのは、CCCのメンバーというよりエリザベスな気がします。エイジもエリザベスのことをドクターとして敬意を払っているようですし、子供たちを何としてでも無事に地球に送り返さなければならないエリザベスにとってもエイジは唯一の頼みの綱ですので、その辺で気があうのでしょうか。

エイジとエリザベスは報告書作成に男性陣はSPTの訓練に出かけたので、ホールにはシモーヌとアンナだけが残されました。第一話以来の二人きりになったことにリラックスしたのか、探し出した食料でシチューを作りながら、シモーヌはアンナ相手に男性陣の好みについてあれこれ話始めます。(人参の缶詰に漢字で人参と書いてある…)

CCCの男性陣3人は全員シモーヌにとって興味がわかない存在のようです。が、男はもう一人いるでしょう、とアンナが言うと先ほどまで饒舌に話していたシモーヌは押し黙ってしまいます。アンナはアンナで『彼』のことが気になるようで顔を真っ赤にしてしまいます。二人の間に気まずい空気がながれます……が、そんな空気を断ち切るようにシモーヌは宇宙服を脱ぎ捨てると黄色いワンピース姿になり、バレエらしき踊りを披露します。まるでアンナからエイジをどう思うのか問われることを恐れて、あえて明るく振舞っているように感じます。(それにしてもロアンはテニス、シモーヌはバレエとやはり良いとこの子のようです。しかも無駄にパンチラがあるし、笑)

ちなみにこのアンナとシモーヌのガールズトークの前にグラドス側の描写があって、そこで一般兵達が、カルラ少尉はゲイルに惚れていて、そのためにエイジ討伐に躍起になっていると完全にバレていて噂話をされている場面があります。(エイジの姉がゲイルの婚約者なので嫉妬している。)ガールズトークの前にこんなシーンを入れるスタッフの皆さんはイイ感じに意地悪だと思います、笑

 

料理が完成したところで男性陣も戻って来て、全員私服に着替えてレストラン風の飾りつけもしてエイジとエリザベスを迎えます。ここでロアンがエリザベスのジャケットを預かろうとジッパーを下ろすと(まぁレストランという設定なのでジャケットを預かるのは間違いではない。)中からいきなりブラジャーが現れてビックリというベタなラブコメみたいな展開になります。

 

 

ベリーショートに理知的な顔立ちと中性的な印象が強いエリザベスですが、それでいて大きなイヤリングや大胆な下着(見せてもいいファッションブラ的な物なのでしょうが)で女性であることもアピールしているエリザベスの個性は本当に面白いですね。

それにしてもここまで登場する大人の女性は国連のメイ、フランソワ、グラドスのカルラ、グレスコの秘書、そしてエリザベスとみんな独立した働く女性であるところが、作品として印象的です。

 

男性陣はまるで修学旅行の夜みたいなテンションでエイジに襲い掛かり、パイロットスーツを脱がしにかかります、エイジに『カッコつける』のを止めさせているのでしょう。観念したエイジもシャツ一枚になってみんなと食卓を囲みます。第一話でグラドスの攻撃が始まって以来、観られなかった穏やかな空気が彼ら彼女らを包みます。が、楽しい時間はあっという間に過ぎ、例のエイジのヘルメットが鳴り響きます。

 

今回のカルラは本気でエイジを殺しにきているようで新型SPTであるディマージュを3機、地上用SPTであるドトールを3機とエイジらの倍の戦力を投入してきました。それにデビッドは自信過剰になっているのか、エイジの忠告を忘れて敵に突っ込んでいってしまい、エイジはデビッドの子守りまでしなければなりません。ディマージュがエイジとデビッドを引き付けている間にドトールが、シャトルとそれを守るロアンのバルディに襲い掛かります。

崖からローラーダッシュで一気に駆け下りてくるドトールですが、このシーンがスピード感と重厚感が両立しており、大変素晴らしいです。バックパックの補助ローラーを使って縦横無尽に動きまくり、ドロップキックまで繰り出してバルディは一方的にボッコボコにされます。この補助ローラーはボトムズに逆輸入されてもいいくらい魅力的な装備だと思います。

前回、センスの片鱗のようなものが見えたロアンですが、今回はグラドス一般兵相手に手も足もでません。やはり付け焼刃で訓練した程度では、正規の教育を長年詰んできたグラドス正規兵にはかなうはずもないようであり、まさしくアーサーが危惧していた通りの展開となってしまいます。

エイジたちは一方的に攻撃を受け続け、これ以上打つ手も無く、ついに絶体絶命となりますが、突如として圧倒的優位にあったカルラの基にゲイルから帰還命令が届きます。命令の意図が理解できないカルラはゲイルに対しやはり義理の弟になるエイジに情けを掛けているのか、となじります。実際には母船に地球の船が接近しているため母船の護衛の為に呼び戻したということですが、ゲイルとエイジの関係を知っているカルラからすれば、ついなじりたくもなるのでしょう。ゲイルに厳しく帰還を命じられ、渋々撤退するカルラですが、去り際に当たるはずもないレーザードライフルを乱射しており、カルラの腹立ちが透けて見えるようです。

そしてゲイルの口から語られた地球の船とは…

 

 

余談…それにしてもグラドスは強固な組織力を持った集団であることは理解できますが、どうも指揮官には問題があるように感じます。ゴステロに関してはまぁ論外ですが、そんなゴステロを「経験豊富な士官」として頼りにしていた、ゴステロの上官って人を見る目がどうなんでしょう。しかも、ゴステロは強姦未遂なんて仕出かしたことが、公然と知れ渡っている存在なのですが…

ゲイルにしても軍人として優秀なのは間違いないでしょうが、それでも公私混同の匂いがしないわけではありません。ゲイルとエイジ、エイジの姉の関係を知っているカルラからすれば、中尉は公私混同をしていると腹立たしく思っても無理はないでしょう。ガステンやロベリアもそうでしたが、部下は優秀なのに上官の判断に問題があって力を発揮しきれない描写がちらほらあるように感じます。