蒼き流星SPTレイズナー 第9話『生き残る道を求めて』

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※今回も完全にネタバレなレビューです。

 

 

療養中と思われるゲイルの部屋を訪れる、新キャラのカルラ少尉。エイジら地球人討伐に志願しますが、ゲイルに対して明らかに職務以上の好意を抱いていることが伝わってきます。それにしても派手なアイシャドウにリップ、跳ね上げた髪型からいかにも80年代!という匂いを感じるキャラクターデザインです、笑。しかも、キツイ顔つきに対して声が非常に可愛らしいのが印象的です。声優は佐々木由美子さん、ダンバインのエレ・ハンムなどを演じられた方みたいですね。

しかし、エイジたちを抹殺するだけなら、SPTで位置を補足して、上空から一気に爆撃してしまえば一番確実な気もするのですが……それをやったら話にならないというものあるのでしょうが。

 

殺人を犯してしまったことに強い衝撃を受けるエイジ、そんなエイジを見つめるエリザベスは、エイジの精神が限界に達していることを感じ、同時にこれ以上、エイジだけに頼るのも限界があると判断します。

思案するエリザベスが達した結論は、レイズナー以外のSPT、つまりバルディとベイブルの操縦方法をエイジに教えてもらうというものでした。現状、SPTは三機あってもそれを操縦できるのはエイジただ一人です。当然、エイジにもしものことがあれば、CCCのメンバーはただ殺されるのを待つだけです。そこでせめてSPTの動かし方くらい覚えておけば、助かる可能性が少しでも生まれるという非常に合理的な判断です。

しかし、ドクターエリザベスは、平和主義者であるという設定がありますが、そんな彼女が、子供たちに武器を取らせる判断をしたというのは心中、穏やかでは無いものがあったことでしょう。ビルたち国連職員がもういない以上、唯一の大人として子供たちを守らなくてはならないというエリザベスの決意が感じられます。

エイジもCCCも戸惑いがありつつエリザベスの提案を受け入れますが、いざエイジの教育が始まってみると意外とノリノリでSPTの勉強にのめり込みます。やはり、年頃の少年たちにとってなんだかんだ言って、SPTという兵器は「カッコいい」ものに映るからでしょうか。そんな中で複雑そうな顔をして射撃方法の訓練をしているエリザベスが印象的です。

 

と、訓練中のエイジたちにカルラ指揮下のSPT三機が襲撃してきます。CCCのメンバーたちはまだ戦うことなど出来ないので、今回もエイジに全てを託します。ここで新型SPTの『SPT-DM-20C ディマージュ』が登場です。個人的にこのディマージュはかなりお気に入りなSPTです。機械でありながら、生物的な艶めかしさも併せ持つ外観が、非常に美しいです。宇宙戦闘に特化した高機動SPTであり、スピードでもレイズナーを圧倒しています。

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また、同時に投入された『SPT-DT-25C ドトール』は地上戦に特化したSPTですが、大型のキャノピーといい、レーザードライフルを構えた時の姿勢といい、太陽の牙ダグラムに登場するコンバットアーマーに近いものを感じます。ローラーダッシュを使用して地上を高速走行する姿はまさしくボトムズのアーマードトルーパーのようですし、こういう高橋監督作品の流れを感じさせる描写は見ていて嬉しくなります。

上空からは高速移動するディマージュ、地上からはローラーダッシュでかく乱してくるドトールのコンビネーションにエイジは苦戦を強いられます。それと同時にいかにゴステロが作戦上の合理性無くエイジたちを攻撃していたかも察せられます。(ガステンとロベリアも良い上官の基で戦えていた良かったろうに…)

エイジは有利な状況になってもこれまでと同じように相手に致命的なダメージを与えることが出来ず、逆にピンチに陥ってしまいます。

これまでも何度も繰り返された描写ですが、うーむ、ちょっと思ってしまうのが、エイジ(とレイズナー)ってもし最初から相手を殺す気マンマンで戦っていたら、ゲイルやゴステロはともかく他の一般兵であれば全員殺せていたのではないかと…

メインコンピューターであるレイの助言に従って、コクピット狙いに集中していればほとんどピンチに陥るまでも無く勝てるのでは?と、これまでの描写を見ていると思ってしまいます。

エイジが人を殺せないというのは、エイジ自身の性格や人道性を強調するものがあるのでしょうが、それと同時に「大した訓練も積んでいない少年が、プロの軍人に勝ってしまう。」というロボットアニメでよくある不自然な展開を避けるためもあると私は思っています。レイズナーはとにかく高性能なSPTのようですし、エイジもそれなりに優秀なパイロットです、しかし、エイジの不殺主義のためもあって完全に勝ったと言えるのはゴステロ相手だけです。それゆえ少年がプロに勝つという不自然さを何とか回避できていますが、それが繰り返されることで本気を出していたら簡単に勝てるんじゃないの?という新たな引っ掛かりが出来ているように感じます……今回なんて完全にドトールの背後を取れているのに攻撃できていないですからね。

うーむ、しかしこれは難しいことですね。少年少女が主役である以上、こういう問題は常に付いて回るでしょう。現状、レイズナーはその部分のバランスを非常にうまく取れていると思いますので、これは気にしすぎでしょうかね。

 

相手を攻撃できないエイジはついにレーザードライフルを捨ててしまい、ナックルショットだけで殴りかかります。まるで自棄を起こした子供が手を振りまわして殴りかかっているかのようです。実際、エリザベスが察したエイジの限界というのはこの辺りにあるのでしょう。それをシャトルから出て観察していたデビッドとロアンはエイジの行動が理解できません。ついに大ピンチに陥ってしまったエイジを見ていて、いても経ってもいられなくなった二人は、デビッドはバルディにロアンはベイブルに乗り込んで習い覚えたばかりの知識でSPTを何とか動かしてエイジの救援に向かいます。

デビッドは無茶苦茶に突っ込んだだけですが、ロアンは初めての操縦であるのにショルダーレーザー砲を一発、ドトールに当ててみせます。

 

新たなSPTが二機出現したのを確認したカルラは撤退を命じます。SPTの能力や誰が乗っているのか不明である以上、無理をしないのは賢明な判断でしょう。

 

ついに自分達の力で自らを守ることを決意した少年少女達、まだまだ苦悩は始まったばかりです。

 

それにしてもレイズナー・ベイブル・バルディの三機って青赤緑で分かりやすい配色をしていますね。SPTも色々種類が出てきましたが、個人的にはブレイバーが一番好きですね。デザインがシンプルですし、いかにも兵器!といった無骨さがたまりません。それにパイロットスーツも各種登場しましたが、グラドスの一般兵士用スーツが一番ですね。バイザー部が前方に飛び出しているデザインも印象的ですし、一番「ありそう」な造りになっていますしね。