蒼き流星SPTレイズナー 第8話『彼の叫びに応えて』

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※完全なるネタバレのレビューです。

 

 

火星へと降下するゲイルを含む三機のSPT。そのうちの一機であるブレイバーを奪ったゴステロは声真似すらせずにゲイルに返答していますが……なんでゲイルは気がつかないんでしょう…?

エイジのレイズナーと対面したゲイルはエイジに最終勧告を突きつけます。その中でエイジの口からゴステロの部下であるガステンとロベリアを殺したのは、自分ではなくゴステロ自身であると語られ、ゲイルもそれを了解します、どうもゲイルもガステンとロベリアを殺したのはゴステロであると薄々気がついていたようです。

と、ここで今まで沈黙していたゴステロが、ゲイルのグライムカイザルにレーザードガンを発射し、グライムカイザルは大破し、ゲイルも重傷を負います。立て続けにもう一機のブレイバーにミサイルを撃ち込んでゲイルの部下を殺害します。

部下殺しの事実を知ったゲイルとエイジを殺すことで真相を闇に葬り去るというのが、ゴステロの企みなのでしょうが……えー、ちょっと待って欲しいのですが、仮にゴステロの企み通り、エイジとゲイルの謀殺に成功したとして、ゴステロはその後どうするつもりなんでしょうか?当然、トライポッドシャトルもしくは大型母船に帰還しなければなりませんが、戻ったと同時にブレイバーを奪ったことが露見すると思うのですが…

仮に何らかの方法で秘密裏に母船に帰還できたとしてもエイジ討伐隊の三機、三人と討伐対象のエイジが死に絶えた⇒誰がやったのか⇒その時、ゴステロが行方不明になっていた⇒・・・と、なると思います。

私は創作に触れる際にかなり細かいことが気になってしまうタイプだと自覚していますが、これは細かいことでは無いと思うのですが…こういうシナリオ上の粗があると視聴中に『?』が頭の中に浮かんできて、作品への没頭を妨害してくるのでこういうのはあんまりあってほしくないですね。

 

ゲイルは重傷を負ってはいますが、何とか返事は出来、致命的では無いようです。しかし、エイジはゲイルを守りつつ、ゴステロを攻撃せねばならず、苦戦を強いられます。エイジはゲイルに必死に呼びかけを続けており、本当にゲイルのことを尊敬しているのだと伝わってきます。

ゴステロはブレイバーの電源を完全に停止させるとブレイバーのポケットからおそらく自衛用であろうロケットランチャーを取り出します。(RPG-7によく似ている。)

これは現実の戦車兵が自衛火器として短機関銃を持っている様な感じなのでしょうね。SPTに対して自動小銃程度では全く効果がありませんから、最低でもこれくらいの火力が必要なのでしょう。徒歩でゲイルに接近することでレイズナーのレーダーに探知されないというのが狙いなのでしょうが、他のパイロットのバイタルサインを外部から測定できるのに、徒歩で移動している人間を補足できないっていうのもちょっと不自然な気がするのですが…

ゴステロが発射したロケット弾は寸前のところでレーザードライフルで撃ち落として阻止できましたが、グライムカイザルから近距離で発射し、そのまま徒歩でブレイバーまで戻ったゴステロをSPTに乗ったエイジが補足することが出来ないとは…徒歩とSPTではお話にならないレベルの速度差があると思うのですが、うーん…

ブレイバーに戻ったゴステロと再び戦闘が始まりますが、ゲイルを守りつつ戦わなければならない状況に変わりはなく、エイジは苦戦をしいられますが、ここでエイジに考えが浮かび、CCCのメンバーにゲイルを助けて欲しいと訴えます。それに対して何故そんなことをしなければならないのか、と反発するメンバーですが、そりゃ当然でしょう、大多数の国連職員やCCCの生徒達を虐殺したのはゲイルの部隊なのですから。

しかし、エイジの必死の訴えに心を動かされたのか、まずシモーヌがゲイルの救助に名乗り出ます、これまでもそうでしたが、エイジに対して自発的な行動をとるのはシモーヌであることが多いですね。しかし、生徒にそんな危険なことはさせられないとエリザベスが自分が行くと宣言します。が、女にそんな危ないことをさせては男の沽券にかかわると思ったかどうかは、不明ですが、結局はデビッドが名乗り出てゲイルの基に向かいます。

ゲイルの基に向かうといってもSPTは全長10m程はあり、ゲイルはその一番上にいるのですから、デビッドはまるで崖登りでもするかの如く、一歩一歩グライムカイザルをよじ登っていきます。

うーむ、装甲騎兵ボトムズのアーマードトルーパーであれば、外部からスイッチを押すことで降着姿勢をとることが可能になり、簡単に地上からコクピットにアクセスできるのですが、SPTにはそういう機能は無いようです。ここだけ見るとボトムズから後退しているように感じます。(巨大人型ロボットのコクピットにどうやって乗り込むのか、という不合理にいかに挑戦するかが、ロボットアニメの大きな課題だと私は思っています。)

 

戦闘の中でエイジはブレイバーのバックパックを完全に破壊し、圧倒的に有利な状況にゴステロを追い込みますが、ゴステロはエイジに人が殺せないと確信しているので、余裕綽々でエイジに迫ります。悠々と近づいてくるゴステロに手が出せないエイジ(いや、脚とか撃って転倒させればいいんじゃないの?実際、バルディに乗った時はそうしたじゃん…)

ついに危険なところまで接近してきたゴステロはレーザードガンをエイジに向けて発射しますが、その瞬間特徴的な演出と共にエイジはブレイバーのコクピットを撃ち抜き、ゴステロを殺害します。

ついに殺人という決定的な行為に及んだエイジ、自分が人を殺せたことが信じられないでいますが、先ほどの特徴的な演出は実は……

 

一方、苦労してグライムカイザルのコクピットにまで辿りついたデビッドですが、そこでは既にゲイルが蘇生しており、デビッドに銃を向けて降りるように伝えます。そのままグライムカイザルから飛び降りるデビッド…いや、あんだけ苦労して上ったのに帰りは飛び降りて無事なのか…そもそも結果的にとはいえデビッドが苦労して上っていく必要が無かったということだし…

 

 

 

これにて「とりあえず」物語から退場したゴステロですが、なんというか「雑」の一言がまず浮かんでくるようなキャラクターでしたね。レイズナーって本当に丁寧で現実性を重視している良質なアニメだと思うのですが、そこにゴステロというあらゆる意味で雑な存在がいることで白けてくるというか…

なぜここまで丁寧に話を作っておいて、ゴステロだけはこうも雑に済ませてしまったのか…おそらくゴステロはグラドスにおける負の面を強調するための存在なのでしょうが、正直なところ負の面どころか、ゴステロって人格破綻者としか言いようがなくて、なんでこんな奴に大尉なんてそれなりの重職をやらせているんだろう…?としか思えないですね。もうここまでくるとゴステロ自身の問題というより、グラドスという組織自体の問題なんじゃないかと思えてきます。

そのチグハグさが、ここに来て一気に噴出したというべきか、8話はこれまでで一番面白くない回でしたね。エイジが地球人たちに対して「カッコつける」ことを止めたというのは注目すべき描写だったと思います。