蒼き流星SPTレイズナー 第7話『血はあかかった』

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無事生き延びたエイジがシャトルから降りてきた姿を見たCCCのメンバーは皆で駆け出してエイジを出迎えますが、やはりというべきかデビッドだけはエイジを受け入れることが出来ません。国連職員やジュノの死の責任はエイジにあると再び責め立てます。

実際、デビッドの発言は逆恨みとも言い切れないところもあります。エイジがグラドスの侵攻を伝えに火星にやって来たのはわかるのですが、国連基地の前で戦闘を繰り広げてしまったのは結果的に不味かったでしょう。もし、国連側がもっと早く未確認勢力の襲撃情報を掴めていれば、米軍やソ連軍基地と連携し、避難が早期に実施できた可能性はあります。実際には管制塔という眼を真っ先に潰され、主要な職員も死に絶えてしまったため、避難どころではなくなってしまったのですが、そう考えるとエイジが国連基地前で戦ってしまったのは迂闊だったと言えなくもないです。(もっともゲイルが、エイジの追跡と地球人への攻撃を並行させるためにエイジを基地前に追い込んだとも考えられますが…)

しかし、今更それを言い始めたところでどうにもなりませんのでエリザベスが、デビッドを窘めます。デビッドは渋々従いますが、どうみてもしこりは残ったままです。

 

グラドス側の最高会議が行われています。見た限りでは政治、組織のシステムは地球側と似ているようです。ここでも地球人が、地球内の軍事的緊張をそのまま地球外に持ち出したことがグラドス側に危機感を持たせていたことが語られます。

実際、グラドスから見て地球は科学技術レベルでは遥かに劣りますが、それでも母星外に進出できる程度の科学力があり、もし何らかの方法でグラドスの技術が地球側に流出した場合、看過できない脅威であると思われているのでしょう。(実際、後々地球側が、グラドスの技術を取り込んでいく展開がある。)

グラドスの基本戦略は地球人同士の争いを誘発させ、その疲弊に付け入って地球を支配するというものですが、これは裏を返せば、地球に直接侵攻すればグラドス側も無傷では済まないと認めている様なものです。

 

エイジとCCCのメンバーはシャトルのコンピューターで地球、もしくは月への帰還を計算しますが、あらゆるアプローチは不可であると返答されてしまいます。意気消沈するメンバーですが、わずかな望みをかけてソ連軍基地にも向かいますが、アメリカ軍基地と同じくソ連軍基地も壊滅してしまっており、手詰まりの状態に追い込まれてしまいます。結局、無人観測基地へ戻るしかなくなってしまいますが、同時に精神的リーダーでもあるドクター・エリザベスにも迷いの感情が強くなっています。それも当然で彼女は確かに優秀な人物ではありますが、火星や宇宙のことに特別詳しいわけではありません、今までは国連職員のビル達が、方針を考えてくれていましたが、彼らが居なくなった以上、エリザベスが決断しなければなりませんが、決断に必要な材料が無いのですから、迷うのも当然でしょう。

 

ゲイルが部下二名と共に火星に降下し、作戦を開始しますが、この時、ゴステロがゲイルの部下のSPTに飛び乗ってそのままパイロットを絞殺してSPTを奪いますが……流石にこれは無理がないですかね…だってゴステロは部下二名を死なせたわけで当然、事情聴取その他があるはずなのですから、こんなことしたら母船の方でゴステロが居なくなっているとすぐバレそうなものですが…

 

観測基地に辿り着いた一行は、地球から火星に調査のための船が来るとか、定期輸送船が来るはずだとか、可能性が残されていることに希望を見出しますが、それがいつ、どこに来るのかとなると、エリザベスですら何も知りません。こういう部分でも今までビルたち国連職員が全てのリーダーシップを取っていたことがわかります。

と、ここで閉塞しきった環境に苛立ちを頂点まで募らせたデビッドが再びエイジに詰め寄り、三度目となる暴行を加えます。が、それまでとは違い、エイジも感情を爆発させデビッドと殴り合いになります。エイジも自らのルーツでもある地球が、互いの争いにより壊滅してしまったことに失望の念があるようです。

今までは暴力沙汰になれば大人のビルやボブが止めてくれていましたが、もう彼らはいません。地球とグラドスの少年たちは自らの感情を自ら処理するしかなくなり、二人の殴り合いは延々と続きます。そして二人の感情を止めたのもアンナの涙という感情でした。ここまで見ていると本当に国連職員のあの五名は重要な存在だったのだと思います。

 

ラスト、火星へ降下するゲイル三機のSPT。ゴステロはゲイルからの問いかけに声真似をして誤魔化しますが、ゲイル……気づけよ。

それにしてもシャトルを捨ててSPTで月面に降下すれば三人は助かるかもしれないが、そんな選択は出来ないとキャラクターに語らせておいて、同じ話内で無理やりとはいえSPTに二人乗っている描写をするってちょっと矛盾してないですかね…?それなら六人まで助かる可能性があるってことじゃないですか。(もっとも六人乗れても、一人は助からないということですから、やはりその選択も無いですし、無理やり乗った方は安全ベルトも閉めれないので危険極まりないのでしょうが。やっぱりゴステロ関連って話に無理がないですかね…?)