蒼き流星SPTレイズナー 第21話『我が名はフォロン』

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エイジが搭乗すらせずとも、完全に独立したコンピューターの指示の基に破壊の限りを尽くしたレイズナー。もはやメインコンピュータープログラム『レイ』以外に隠されたプログラムが存在していることは明白です。エイジはレイを問い詰めますが、レイはそのようなプログラムなど存在しないと繰り返すばかりです。

 

場面は変わって療養中のクレイトンと寄り添うエリザベス。エリザベスはアーサー達に伝えた通り、しばらくの間はクレイトンと一緒に生活するようです。ここまで親身にしておきながら、エリザベスにとってクレイトンとの『関係』は終わっているそうですが、本当にエリザベス本人はそれで納得しているのでしょうか。なんだかエリザベスという人物は物語の最初からかなり無理をしているように見えてなりません。異星人の侵略が始まったというテレビニュースを見ていて思わず涙も流しています。

そんなエリザベスの心中を知ってか知らずか、クレイトンは「いいのか、基地に戻らないで?」と声を掛けます。眼は見えなくともエリザベスが生徒達のことを心配していることが伝わってくるのでしょう。

と、そんな二人の所に怪しい黒服が…

 

場面は変わってアーサーが迎えに来た母親と歩ています。アーサーの母親というのが、分かりやすく過保護なんだろうなぁ~という感じで、アーサーのことをまるで幼児のような扱いをしています。「帰国したらグランド男爵のお嬢様と真っ先にお会いするのよ。」なんて話も交わされており、アーサーもまたシモーヌと同じく、かなりの名家の生まれのようです。しかし、アーサーはそんな過保護な母親に甘える風でもなく、自立した男の風格の様なものを漂わせています。

と、アーサーの元にも怪しい黒服が…

 

レイを何度詰問しても決まりきった答えしか返ってこないことに苛立ったエイジは強硬手段に出ます。レイズナーが自己防衛のためのプログラムに覆われているなら、強引にそれを出現させるために周囲の米兵から拳銃を借りるとコクピット内でレイに向かって拳銃を発砲します。エイジの『暴走』を制止するレイ、それに構わず発砲を続けるとついにレイの奥から隠された自己防衛プログラム『フォロン』が姿を現しました。

このフォロン、エイジの父であるケン・アスカが、息子であるエイジにグラドスからの平和の使者として機密情報である『グラドス創生の秘密』を託す目的でプログラムされたそうであり、エイジはそれをフォロンから聞きます。フォロンからその機密情報を聴いたエイジはしばし呆然としますが、すぐにギルバート博士を通じて、全世界にメッセージを発信できるよう要請します。

すぐさまエイジのメッセージが全世界に放送されるよう場が整えられ、呼び戻されたアーサーとエリザベスも空軍基地に戻ってきます。(結局、エリザベスがクレイトンと過ごせたのは数時間に過ぎなかったようです…)

そしてエイジは開口一番

『グラドスに降伏すべきです!』

と言ってしまいます、その後もエイジは喋ろうとするのですが、包囲していた米兵たちはエイジの発言を地球人に対する侮辱かつ隷属をすすめるものだと判断し、レイズナーに一斉攻撃を開始してしまいます。地球人に攻撃するわけにもいかないエイジはそのままレイズナーで逃走を開始し、グレスコ提督に面会し、メッセージを伝えるためにその場を去ります。

 

……このシーンなのですが、ちょっとエイジが不用意過ぎるというか、コミュニケーションがヘタ過ぎるのではないでしょうか。周囲の地球人、特に軍人たちは異星人の襲来を前にして気が立っており、ちょっとした刺激が暴発に繋がりかねない状態です。そこにいきなり降伏すべし、なんて言い出せば、地球人からみてエイジは侵略者の手先としか思えないでしょう。聡明な少年であるエイジがそこが理解できないというのも不自然な気がするのですが……

それならばまずは『グラドス創生の秘密』を明らかにし、次いでグラドスと地球の科学力を比較し、最後に降伏を勧めるという流れなら、地球人に与える印象も大分違ったものになると思うのですが、いきなり降伏勧告というのはあまりに相手の気持ちが分かって無さすぎませんかね……これに関してはエイジがどうのというよりも話の進め方が強引過ぎる気がします。このレイズナーというアニメ、本当にキメが細かく丁寧に作られている作品だと思うのですが、メインシナリオの進め方に関してはちょっと粗が目立つように思います。

それにエイジは逃走の為に地球のシャトルを奪うのですが、何故かそのシャトルの乗組員はあっさりエイジの要求に答えており、抵抗する素振りも見せません。ここだけ見るとこのシャトル乗組員はエイジの内通者なのかとすら感じてしまいます。

 

まぁそれはそうとしてエイジは宇宙空間まで逃走するとグレスコの大型母船にコンタクトを取り、グレスコと会話できるよう申し込みます。当然、副官のズールはエイジの申し出を鼻で笑って拒否しようとしますが、何故かグレスコはエイジの申し出を受け入れ、全員その場から去るように命令します。

一人きりになったグレスコはエイジと『グラドス創生の秘密』について話し合うのですが、ドアの向こうに気配が……副官のズールが壁に耳をつけて二人の会話を盗み聞きしていたのでした。それに気づいたグレスコは自らの手でズールを絞殺し、哀れ副官ズールは殺されてしまったのでした。(グレスコもそんな重要な話を盗み聞きできるような声量で話すなよ…)

 

 

余談…レイズナーという世界観の根幹に迫る重要な話でしたが、前述したようにどうも話の進め方が強引に思えてなりません。ゴステロやゲイルについてもかなり強引さと粗が目立ちましたし、どうもこういう傾向があるようですね。(私が気にし過ぎなだけかもしれませんが…)

それと今話で鬼籍に入った副官のズール。一見嫌味な権力者タイプに見えますが、冷静に話を振り返ってみると別におかしなことは言っておらず、部下を叱責するシーンも別に理不尽なことで言っているわけでもありません。カルラが独断でズールに報告したシーンなどむしろ部下に対して気を遣っている感じすらしています。

後の話になりますが、ズールが死ぬ原因になった『グラドス創生の秘密』というのも「そこまで重大なことか…?」と思ってしまいそうな内容であり、そんなことが原因で殺されてしまうのはちょっと気の毒にすら感じてしまいます。