蒼き流星SPTレイズナー 第1話『あかい星にて』


www.b-ch.com

ジャパコミで西村誠芳先生にレイズナーのエリザベスを描いていただいたこともあり、蒼き流星SPTレイズナーを十数年ぶりに観直すことにしました。

内容をかなり忘れてしまっているので新鮮な気分で見返すことができますね~

というわけで第一話から視聴の度に感想を綴っていきます。

 

 

狂言回しであるアンナの口から物語の舞台が、1996年であることが語られる。そうか、今からもう20年以上も昔の設定なのか、この頃制作されたSFって、このくらいの年代設定が多いように感じますね。思い切って2050年とか、2100年とかにしないのはあくまで当時放送していた年代と地続きの世界であることを強調する目的があるのでしょうか。(あまりに未来だと現実感が失われてしまい、今、視聴している自分の世界とは全くの別世界であると思ってしまう。)

レイズナーの製作が、1986年。現実世界でソビエト連邦が崩壊したのが、1991年。わずか数年後にソビエトが崩壊してしまうことになりますが、だからといって2022年の現代で米ソ(今は米ロか)の緊張が無くなっているわけでは全くありません。そういう意味では米ソの軍事的緊張が、宇宙にまで進出しているという基本設定は決して陳腐化しているものでは無いと思います。

コズミック・カルチャー・クラブ(CCC)の少年少女達は、国連の企画に選抜されるくらいなのですから、極めて優秀なのでしょう。アーサーからアンナに至るまで全員、育ちの良さの様な物を感じます。そしてCCCのメンバーは火星に来るまでに半年間の基礎訓練を積んでいることが、明らかになります。つまり彼ら彼女らは、宇宙について素人では無く、この事が後々にまで生きてくるのだと思います。

少し話は変わりますが、高橋良輔監督の作品に共通することとして主人公達が、物語の開幕時点で決して『素人』ではないというものがあります。

平凡な少年少女たちが、いきなり危機に巻き込まれるのではなく、公的な機関で最低限の訓練を積み、能力を身に付けた状態で物語がスタートします。

以前観た映像資料で高橋監督が、『自分には荒唐無稽な話は作れない。』と仰っていましたが(正確にはナレーションで)、こういう点にも高橋監督とスタッフの思想があらわれているように感じます。

CCCのメンバーが到着時の説明会に参加していると突如として基地外部でSPT同士の戦闘が発生します。SPTの戦闘は非常にスピーディーですし、なにより重力を感じられるのが素晴らしい。レーザードライフルの突き刺すような描写も印象的です。

そして唐突に訪れる悲劇………高橋監督作品に共通する特徴として『死』というものを避けえない自然現象のようなドライさで表現していることにあると思います。湿っぽさが無いというか、感傷的に成り過ぎないというか、このドライな空気感こそが、高橋監督作品の魅力だと思います。

親友のジュノの死に衝撃を受けるデビッド、確かこのことが、エイジとの関係において決定的な課題となっていくことになります。

それにしても一話開始時点で、CCCのメンバーを取り巻く大人達は、エリザベスを含めて数名となってしまいました。(この後、米軍ソ連軍など色々、登場したはずですが。)

レイズナーの見所として子供にとって頼りになるはずの大人達が、次々に死んでしまう恐怖というのがあると思いますが、第一話の時点でそれを象徴しているようです。(後に登場するゴステロの部下にも非常にマトモな人物がいた。)

 

 

さて、こんなところでしょうか。これから一話視聴する度に感想を述べていきたいと思います。それにしてもアーサーってもっと情けないイメージがあったけどこの時点では普通に頼りになっていますね…