蒼き流星SPTレイズナー第5話 『まもられても、なお…』

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国連職員とCCCが乗ったバギーは必死に逃走しますが、ロベリアのブレイバーが迫ります。ロベリアは一瞬、バギーを照準に捉えますが、何故か撃たずに舌打ちと共に見逃します。ロベリアが撃たなかった理由ですが、対象が明らかに非武装、無抵抗だから撃つのを躊躇したのか、それとも単に砂嵐で照準がブレたのかよく分かりません。個人的には前者だと思いたいです。

レイズナーの護衛もあって何とか観測基地まで到達することが出来た一行。

観測基地の通信機でアメリカ軍基地を呼びだします。一瞬だけアメリカ基地が応答しますが、やはり妨害電波が強くそれ以上の通信が出来ません。しかし、これでアメリカ基地が健在である可能性が出てきました。これまでの状況を整理するうちにメンバーの中にエイジを信じてみようという考えが強くなってきています。

と、ここで国連職員たちの名前も判明します。リーダー格の男がビル、サングラスの大男がボブ、もう一人の金髪の男がニコラエフ、金髪の女性がメイ、黒髪の女性がフランソワですね。彼らは脇役ではありますが、適度にキャラが立っていて印象的です。それに彼らがいかにCCCのメンバーに優しく、一人の人間として尊重してくれていたかは後々『比較対象』が現れて痛感することになります…

また、名前から分かるようにビルやボブはアメリカ系、ニコラエフはソ連系だと思われます。米ソの対立がストーリーの根幹にあるレイズナーで国連職員だけは国家や人種の壁を超えて協力し合っていることがわかります。この時点ではまだ地球人類という存在に希望が持てますが…

 

その間にCCCのメンバーは食料を探し出します。この蛇腹状のチューブは…飲料水でしょうか?(飲み口みたいな部分があるので)

アーサーが全員に平等に食料を分けますが、シモーヌとロアンが、彼(エイジ)にも渡すべきなのではと発言します。アーサーもそれに同意しますが、デビッドが食料を取って一人で出ていきます。アーサーはデビッドがエイジの事を許したのだと思い、笑いますが(こういうお人好しなところがアーサーの魅力ですね)、ロアンとアンナは不穏な気配を感じ、デビッドの後を追います。

予感は的中したというべきか、デビッドはエイジに対面すると食料を渡すふりをしてエイジの目の前で食料を引きちぎってみせます。さらにCCCや国連の死者の責任はエイジにあると再び詰め寄ります。その死の責任はエイジには無く、むしろエイジはその悲劇を回避させるためにやってきたと他のメンバーは信じ始めているのですが、デビッドだけが未だ唯一エイジに強い憎しみを抱いています。

デビッドの再三の挑発にエイジは申し訳なさそうな顔をするだけで何も反応しません。それに苛立ちが頂点に達したのか、デビッドはエイジに激しい暴行を加えます。このデビッドの暴行をアーサーもロアンも呆然と眺めるだけで制止しようとしません。結局、今回も国連職員のビルやボブが止めさせます。ここまでも何度かありましたが、少年同士の争いを大人が止めさせるという流れが、繰り返されています。

前回銃を突きつけた時もそうでしたが、デビッドはエイジを憎みながらも決定的な行動にまでは達せていません。ある意味ですが、デビッドは周りの大人が止めてくれるからこそ安心してエイジを憎むことが出来ているとも言えます。しかし、大人たちが止めてくれるのは今回が最後になりますが…

シモーヌがこぼれ落ちた食料(カロリーメイトみたいなもの?)を丁寧に拾い集めています。そして

 

あなたの星では喧嘩をしないの?

 

という印象的な一言と共にエイジに食料を押し付けて立ち去ります。カッコつけ過ぎよ、という言葉も残して…確かにここまで地球人たちが生き延びてこれたのはエイジが護衛してくれたおかげです。しかし、そのエイジはというと無償の献身をみせるばかりで、エイジ本人の人間性や感情というのが、ほとんど伝わってきません。

地球人たちはグラドス人であるエイジを信じてみようと思い始めているのにグラドス人であるエイジは地球人たちから超然としており、胸襟を開くといった姿勢も見られません。シモーヌの言うカッコつけ過ぎよ、とはエイジのそういう部分が鼻につくというのがあるのではと思います。エイジだって人間なのですから、水や食料は当然必要です。だったら、エイジ本人から「申し訳ないけど、食料を分けてくれないか?」くらい言ってもいいのでは、それすら言わないのは最早カッコつけているだけだ…と。

 

砂嵐も去り、いよいよアメリカ基地に出発…ですが、当然というべきかゴステロの邪魔が入ります。しかも、わざわざレーザードライフルの出力を対人用まで抑えて襲撃してきます。嫌すぎる機能が搭載されています、SPT…まず、メイが射殺され、ボブ、ニコラエフも立て続けに射殺されます。エイジがゴステロを止めようとしている間にゴステロは残りの地球人たちを殺害するようにロベリアに命じますが、ロベリアは明らかに相手が無防備であるとして攻撃を躊躇します。本当に真っ当な軍人です、ロベリア。なんでこんな真っ当な人の上官が、ゴステロなんでしょうか…

バギーの中でフランソワが仲間を目の前で殺された衝撃で錯乱状態に陥ります。そこにドクター・エリザベスが、スペーススーツの外から鎮静剤を投与して落ち着かせます。このスーツの外から他者が薬剤を投与するという描写は同じく高橋監督作品である、『ガサラキ』のTAへの繋がりを感じますね。

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多くの犠牲を払いながらも生き残ったメンバーはアメリカ基地までたどり着きます。見たところ何の損害もなく、これで助かったとメンバーは一安心……

しているとアメリカ基地から突如として核ミサイルが発射されます。そして直後に空から核ミサイルが降り注ぎ、アメリカ基地は壊滅してしまいます。

地球人同士の争いを誘発させ、その疲弊に付け入って地球を支配するというグラドスの戦略がついに現実のものとなりました…しかし、これはまだまだ苦難の入口でしかありません。