蒼き流星SPTレイズナー 第18話『そして地球へ』

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スカルガンナーの攻撃を何とか撃退したエイジ達はひとまずシャトルに引き返し、クレイトンと子供達も収容します。

子供達は不安げな表情を見せますが、アンナやアーサーが積極的に子供たちに話しかけて徐々に打ち解けてきます。それにしてもこの子供たちは学校の帰りにグラドスの襲撃を受けて、クレイトンに保護されたということなのですが、当然一緒に生活していたであろう家族、両親はどうしたのでしょうか?月には地球人が3万人暮らしていたという事ですから、その生き残りがクレイトンと子供たち9名だけとは考えにくく、他の区画に避難している住民もいるとは思いますが、やはり大部分は死亡してしまったのでしょう。

そう考えるとこの子供たちの家族も死亡している可能性はありますが、それに関して子供たちは何も言いません。この年代の子供たちが両親のことを何も言わないのはちょっと不自然な気もしますが、そこは話が複雑に成り過ぎるのを防ぐという作劇上の理由なのかもしれませんね。

 

場面は変わってグラドスの大型母艦。母艦からアンテナの様な装置が伸びるとその先端に突如として小型のコンテナが出現しました。要するにこれワープ装置なんですね。SF作品でワープというと戦艦や戦闘機などが使用するのは多いですが、こういう小型の荷物を転送するのにも使えるというのは、ちょっと新鮮ですね。

で、何が送られてきたのかというとエイジの姉であるジュリア・アスカその人でした。(EDに出ている人ですね。)それにしてもこのジュリア、顔のパーツのバランスがおかしいような…鼻と口が小さすぎる&下過ぎるで小型犬みたいにみえますね。さてエイジの姉に何をさせるのでしょうか。

 

再び場面はシャトル内へ。エリザベスが臥床するクレイトンに寄り添っています。アンナは二人の関係に興味を持ったのか、エリザベスに質問します。やはりエリザベスとクレイトンは恋人同士であったようですが、それは過去の話であり、今はもう終わった事であるとも。しかし、そうであるなら何故、エリザベスはこうしてクレイトンに今でも親身にしているのでしょうか。勿論それは『患者』であるクレイトンに『医師』であるエリザベスが職務上の責任を果たそうとしているというのもあるでしょう。しかし、二人の関係の濃淡はそれだけでは説明がつきそうにありません。

すぐ隣ではアーサーが子供たちと一緒になって楽しく遊んでいます。未来の象徴である子供たちが笑顔で遊ぶ隣で恋敗れた大人たちが押し黙って過ごしているという構図は、少し残酷なようにも感じます。

それにしてもエリザベスって他の子供たちがいると「クレイトン」と呼んでいるのに二人きりになると『ジョン』とファーストネームで呼んでいるんですよね。ここまで視聴していると未練タラタラなのはクレイトンの方と感じてしまいますが、エリザベスにだってクレイトンに対する未練は絶対あると思うんですよね。お互いに未練があるなら縒りを戻してもう一度やり直せばいいんじゃないか、と思うのですが、以前も述べたようにもう二人は生き方や思想が違ってしまっていますからね。そんな単純な話じゃないのでしょう。

さらに二人の会話から過去のある一週間がお互いにとって決定的なすれ違いになったことが語られます。エリザベスに何か重大なトラブルが発生し、その時クレイトンが傍にいてくれなかったことが破局の決定打になってしまったようです。

エリザベスに起こったトラブルが何かは現時点では分かりませんが、クレイトンが何故エリザベスの元に行けなかったかは何となく予想は付きます。クレイトンの職業が軍人であること、一週間という期間ということから、おそらくその時クレイトンは軍事演習が入っていたので電話すら出来なかったのでしょう。そういう事情なら連絡できなかったのもやむを得ないと思いますが、それでもエリザベスはその時、クレイトンに会いに来て欲しかった。なんなんだこの情熱的な男女関係は……わかりやすくメラメラ燃えているんじゃなくて、外からは見えないが灰の下でジワジワ燃え続けている炎というか…

 

それはそうとクレイトンの眼の傷は感染を起こしており、このままでは失明の危険があるようです。それならば地球帰還後に病院ですぐ治療してもらうというのが最も安全かつ妥当な判断でしょう。しかし、調べてみるとアポロ11号は地球から月に到着するまで約102時間かかったそうです。トライポッドシャトルはグラドスの技術によって作られているのでもう少し早く到着するとは思いますが、それでも時間はかかるでしょう。しかもそれはグラドスの妨害が一切無ければという前提のことです。

地球に帰るまでにもしクレイトンの眼の傷が致命的となり、失明することになれば…

そう考えたエリザベスは居ても経ってもいられなくなり、出発まであと数十分というのに誰にも告げずに月面基地の医務室に抗生物質を取りに行きます。これまで常に冷静で理知的な言動を取り続けていたエリザベスにしてはあまりに無茶かつ危険な行動です。

これは医師としての責任感ゆえの行動なのでしょうか、それとも…

 

エイジ達もエリザベスがいないことに気がつき大騒ぎになります。クレイトンもまさかエリザベスがそこまでやるとは…と驚いているようです。

直ちにデビッドがベイブルで救出に向かいますが、エリザベスの元にスカルガンナーの襲撃が。スカルガンナーに見つからないよう薬を見つけて脱出しようとするエリザベスですが、このシーンは演出が完全にホラーになっています。

なんとかエリザベスはベイブルに収容し、再びエイジ達はスカルガンナーと激しい戦いになります。それにしても前回もちょっと思ったことですが、このスカルガンナーという存在は非常に不気味かつ恐ろしく、物語における悪役としての役割は完璧に果たしているとは思いますが、見方を変えて兵器として冷静に考えた場合、ちょっと問題が多いようにも思えます。

まず、武装として対生物用のビーム兵器を搭載していることから、敵の主力をあらかた壊滅させた後の残敵掃蕩の役割を期待されていることは間違いないでしょう。しかし、それにしては全高約10mというのはちょっと大きすぎるでしょう。もしスカルガンナーに襲われても強固な地下施設や区画に逃げ込めばそれだけで手が出せなくなるのでは?

本編ではどの区画も全高10m以上はありそうな、かなりだだっ広い作りになっていますが、病院などの生活区域までそこまでデカく作る必要ありますかね?これに関してはスカルガンナーを侵入させる理由付けにしかなっていないようであり、やや不自然さを感じてしまいます。

尤もスカルガンナーの任務は対人だけでなく、対SPT、対戦闘機などもこなせるようです。しかし、本編を見て分かるようにどうも対SPT戦においては火力不足なようですし、なにより鉄骨などの無機物と人間の見分けがついていないというAIのお粗末さもあって、兵器として観た場合どうにも中途半端な存在の様に思えます。

とはいえその中途半端な性能のおかげでデビッドやロアンでも何とか戦えて、緊迫感も演出できるという作劇上の意味は非常に大きいです。(二人とも有人SPTにはかなわないので。)

それともう一つ見逃せないのが、アーサーがトライポッドシャトルの機銃を操作してスカルガンナーに命中させ、きちんと戦闘でも役に立っています。レイズナーってロボットアニメですから、ロボットであるSPTの操縦から脱落したということでアーサーは点数が辛く付けられがちですが、こうやってちゃんと戦闘に参加していることは見逃せません。

 

最後にエイジがレイズナーに隠された機能を再び引き出すために意図的に攻撃を受け続け、レイズナーを窮地に追いやります。そしてエイジの予想通り、レイズナーは再びV-MAXを発動させスカルガンナーを蹴散らしたのでした………が、エリザベスとクレイトンの関係が良過ぎて、今話はロボットアクションはほとんど印象に残りませんでしたね。